徳島県阿波市の山里にかつて存在した宿「旅殿 御所 社乃森(やしろのもり)」は、まるで平安時代にタイムスリップしたかのような特別な時間を過ごせる温泉旅館でした。
長引くコロナ禍の影響で2021年に旅館業を廃業。
2024年にはその他施設も廃業し、現在は宿泊はおろか体験等もできませんが、今なお語り継がれるその魅力を振り返ってみたいと思います。
宿の特徴 – 平安の宮廷を再現した贅沢空間
社乃森と言えば、十二単や直衣など平安装束の着付け体験。
「社乃森」ならではの人気イベントでした。
現代の喧騒を離れ、一歩門をくぐれば広がるのは平安貴族の優雅な世界。
敷地面積は約3000坪、客室わずか10室という贅沢な造りで、平安時代の宮廷建築「寝殿造り」を忠実に再現されていたのが特徴。
館内の灯りや調度品まで時代考証に基づきしつらえられ、敷地内には神社(御所阿波宮)も鎮座するなど、千年前の雅を感じる空間でした。
さらに、全客室が50畳以上の和室でテレビは無し。(平安時代にテレビはありませんもんね!)。
代わりに四方に美しい襖絵や調度品が配され、窓の外には日本庭園の景色…。非日常に浸るにはうってつけで、「俗世を想像させるものはございません」という徹底ぶり。
廃業してしまったのが残念でなりません…
宿としての設備
お風呂は自家源泉の「美人の湯」重曹泉で、100%源泉かけ流し。
泉質はとても柔らかく、トロトロと肌に膜を張るような感触で、敏感肌の私でも刺激を感じない優しいお湯でした。
広い大浴場には露天風呂もあり、貸切状態になったこともあるそうで、夫婦でのんびり入浴できたというエピソードもあります。
お料理も徳島の山海の幸をふんだんに盛り込んだ会席料理で、雑な感想になりますがとにかく全て美味しかったです
また、東北出身の私でも感動する白ご飯の甘さ、地元食材を活かしたお食事は満足度がとても高かったです。
宿のサービス
到着時には平安装束を纏った女性スタッフがお出迎えし、抹茶と和菓子のウェルカム茶で旅の疲れを癒やしてくれます。
スタッフはあえて現代風の言葉を使わず、宿泊客のことを「殿」「姫」とお呼びする徹底ぶり。
今でいうコンセプトカフェの上位互換のようなサービスでしたね。
滞在中の衣装体験や遊びの際にも常に付き添ってサポートしてくれ、「至れり尽くせり」とはまさにこのこと。
チェックアウト後、車に乗って見えなくなるまで手を振って見送ってくれるなど、最後の最後までおもてなしに溢れていました。
どんな人に向いていたか – 大人のカップル・歴史好きに◎
平安絵巻の世界を体感できる「社乃森」は、大人のカップルや夫婦の記念旅行に特に向いているお宿でしたね。
実際、新婚旅行で訪れていたであろう方も見かけましたし、特別感を味わうことができるのでぴったりです。
十二単の着付け体験では奥様が大喜びし、旦那様も最初は照れながらも「妻が喜ぶなら」と平安貴族になりきる…なんてのもいいですね。
また歴史や伝統文化に興味があり、趣味があう友人同士の旅にもぴったりで、「Twitterで話題になっていて気になり友人と宿泊した」という20代女性の声も見かけました。
もし、今も稼働していれば外国人観光客からも大人気だったでしょうね。
ちなみに小学生以下の宿泊は不可。
ですので本当に大人のためのお宿でした。
宿泊客の満足度 – 「夢のような時間」を過ごせる宿
総合的な満足度は非常に高く、口コミ評価でも⭐️4.9/5点(TripAdvisor)や「最高!」(agoda.com)といった声が並んでいました。
特に多く聞かれたのが
「平安貴族になりきれる非日常感がすごい」
「お湯がトロトロでお肌ツルツル」
「お料理がとても美味しくボリューム満点」
「スタッフの心遣いが素晴らしい」
といった声が多くありました。
高評価が多い一方で料金は相応に高額。
特別室は1泊2名で79,000円、一般客室でも同39,500円ほど(2食付き・税込)と、当時にしてはかなり奮発が必要でした。
2025年現在で見ると安く感じてしまいますが、当時は1万円前後でいいホテルとかに泊まれましたからね…
総じて、「旅殿 御所 社乃森」は現代では味わえない夢幻のような時間と心尽くしのおもてなしで、多くの宿泊客を魅了した唯一無二の宿だったと言えるでしょう。
「社乃森ロス」に効く?徳島で雰囲気・サービスが似ている宿3選
「社乃森」の宿泊営業終了を惜しむ声も多いですが、徳島県内にはあの宿に通じる特別感やおもてなしを味わえる宿がまだあります。
ここでは、雰囲気やサービスが似ていると感じられるおすすめ宿を3つご紹介します。
歴史ロマンを感じる宿から絶景自慢の隠れ宿まで、いずれも魅力的ですよ。
1. 渓谷の隠れ宿 祖谷美人(いやびじん) – 秘境で贅沢に癒やされる温泉宿
徳島が誇る日本三大秘境・祖谷渓谷に佇む全9室の小さな旅館です。
その名の通り**「渓谷美」に癒やされる隠れ宿。
全客室に専用の露天風呂が付いているのが最大の特徴。
信楽焼の陶器風呂や檜風呂からはエメラルドグリーンの祖谷川と四季折々の山の景色を一望でき、まさに贅沢なプライベート湯浴みを楽しめます。
お湯はアルカリ性の単純硫黄泉で肌あたりが優しく、美肌の湯としても評判です。
お部屋は和室を基本に一部洋ベッドを配した和洋室や離れスイートもあり、いずれも渓谷に面した造りで開放感抜群。
料理は囲炉裏個室にていただく郷土色豊かな会席料理で、川魚の塩焼きや山菜料理、名物の祖谷そばなど地元の味覚を堪能できます。
静かでプライベートな空間なのでカップルの記念旅行や、自然に癒やされたい大人の旅にぴったり。
参考価格は1泊2食付きで1人あたり約¥19,000~¥25,000前後**(2名利用時)と、ハイクラスながら「社乃森」よりは手の届きやすい設定です。
絶景の露天風呂と心尽くしの田舎料理で、“もう一つの非日常”を味わわせてくれる人気宿です。
2. PAYSAGE MORIGUCHI(ペイサージュ モリグチ) – 歴史息づく古民家アートホテルで特別な滞在を
美馬市脇町の重要伝統的建造物群保存地区「うだつの町並み」にある、明治14年(1881年)築の豪商・森口家住宅をリノベーションした全5室のみの小さなホテルです。
江戸~明治の趣きを残す町家建築に現代的な快適さを融合させたお洒落な空間で、まさに**“時をつなぐ風景”という名の通り、歴史とアートが調和した滞在を楽しめます。
客室はそれぞれ内装デザインが異なり、アンティーク家具や梁むき出し天井など古民家の風情を活かしつつ、ベッドやバスルームは最新の設備で清潔・快適と評判です。
朝は地元食材を使ったコンチネンタル朝食を提供(無料)しており、「朝食が美味しかった」「落ち着いた雰囲気に癒やされた」と宿泊者の評価も上々。
おすすめポイント: 江戸時代から続く町並みの真ん中というロケーションで、昼は街並み散策や藍染め体験なども楽しめ、夜は静まり返った石畳をそぞろ歩けばまるでタイムスリップした気分に。
歴史好きのカップルや女性旅、海外からのゲストにも喜ばれることでしょう。
参考価格帯: 朝食付きプランで1人あたり¥10,000台~¥20,000前後**が中心。
夕食は付かないので、近隣の趣ある食事処やカフェを利用するスタイルですが、町並み観光がてら外食するのも一興です。
非日常感と居心地の良さを兼ね備え、「うだつ」の街で特別な一夜を過ごせる隠れ家的ホテルです。
3. リゾートホテル モアナコースト – 鳴門海峡を望む大人の隠れ家リゾート
徳島県鳴門市にある全室露天ジャグジー付きのプチリゾートホテルです。
瀬戸内海と鳴門海峡を見渡す高台に位置し、本館客室はオーシャンビューのテラスに開放感あふれるジャグジーを備えています。
別棟ヴィラもあり、こちらは半露天のジャグジーを完備。
天候を気にせずプライベートバスを楽しめる工夫が嬉しいですね。インテリアは落ち着いた色調でまとめられ、大きなシモンズ製ベッドやゆったりソファが配されており、高級感とリラックス感が両立しています
おすすめポイント: 専用サウナや水風呂付き客室もあり、サウナ好きカップルにはたまらない設備
さらに併設の有名イタリアンレストラン「リストランテ・フィッシュボーン」でいただくディナーは「見た目も味も大満足」と評判で、わざわざ食事だけ利用したい人もいるほど
朝は有機野菜サラダや自家製パンが彩る洋朝食をガーデンテラスでいただき、リゾート気分を満喫できます
ホテル内外でサイクリングやクルージング、藍染め体験などアクティビティも充実しており、のんびり派もアクティブ派も楽しめるでしょう。
記念日プランやエステ付きプランも用意され、大人のカップルのロマンチック旅にうってつけの宿です。
参考価格帯: 2食付きプランで1人¥20,000前後~(季節や部屋タイプによる)とリーズナブルで、特別な日のご褒美ステイにも利用しやすいでしょう。
瀬戸内の青い海を望みながらジャグジーで語らう贅沢は、「社乃森」に通じる非日常の癒やしをきっと感じさせてくれるはずです。
どの宿も「旅殿 御所 社乃森」と同様、日常を離れて心遊ばせるのに最適な魅力があります。
それぞれ趣向は異なりますが、徳島ならではの景色・文化・おもてなしを満喫できる宿ばかりです。
ぜひ、自分へのご褒美旅や大切な人との記念旅行の行き先に検討してみてくださいね。
きっと特別な思い出が作れることでしょう!😊
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